スロット今昔物語

【参加者募集】12/9(土)-12/10(日)リジェネラティブツーリズム in 阿蘇

greenz people ロゴ

「印刷物」のサステナビリティに取り組みたい人、この指とまれ!環境負荷を下げるためにできることを伸和印刷の仲川文隆さんに聞いてみた

[sponsored by 伸和印刷]

会議の資料、学校からのお知らせ、町内の回覧板、本や漫画、店内のポップなど、普段から私たちの生活にあふれている印刷物。なんとなく紙を無駄遣いしてはいけない、大切に扱おうと思っていても、普段から徹底して取り組めている人は少ないのではないでしょうか。

私自身、電子化が進んでいるとはいえ、どうしても紙の本に惹かれて手に取ることが多く、本棚には積読もたくさん。「印刷物のサステナビリティ」と聞いたときには、ドキッとしました。

そんななかで今回は、印刷のスペシャリストとして知見を深めてきた(以下、伸和印刷)の3代目、代表の仲川文隆(なかがわ ふみたか)さんが、紙のサステナビリティに取り組みたいパートナーを募集中と知り、印刷物の環境負荷を下げるためにできることについてのお話を聞いてきました。

印刷物の利用を減らすよりも、利用する森林資源を減らすことに取り組みたい

昭和28年、1代目の仲川正さんが戦後シベリアから帰還し「平和が伸びるように」という願いを名前に込めて設立した伸和印刷。「印刷をしないことも提案する」ことを掲げ、印刷物の利用を減らすよりも、利用する森林資源を減らすことを重視しています。

これは一体、どういうことでしょうか?

仲川さん 「印刷をしないことも提案する」と言っていますが、印刷しないということではなく、印刷も結局、自然環境を含めた全体の一部であると考えたら、資源を大事に使っていきたいと思っているんです。

印刷物は、情報を伝えるという観点では強みもありますよね。実際、アメリカ合衆国郵便公社やトッパン・フォームズ株式会社の研究などで、「印刷物だからこそ受け取り手の反応が高い」ことも明らかになっています。

だからこそ、印刷するべきものとそうでないものの見極めにもこだわっていきたいと考えています。

印刷物のサステナビリティについて説明する仲川さん

たとえば、カタログや雑誌などの印刷物をつくる際には、本機校正といって、本番に刷る機械で試し刷りをする段階が挟まれます。このとき、4色のインクをかけあわせて色味をつくるオフセット印刷など、印刷の手法によっては、数ページの印刷物を数部試し刷りするためだけに何千枚という紙を使うこともあります。

ですが、写真の色味に特別こだわりたいのではなく、誤字脱字などを確認したいだけであれば、プリンターで印刷したり、必要なページのみ印刷するという選択肢もあります。通常であれば、こういった発注側が知りえない事情や、印刷を受注する側としては、利益を考慮して言い出せなかったりする部分にも、「印刷する」こだわりをもっていきたいと仲川さんは話します。

仲川さん 紙の無駄遣いを減らして、持続的な森林資源の活用をすると聞くと、FSC認証が思い浮かぶ人もいるかもしれません。環境、社会、経済面において、きちんと管理された森林を使用した製品であることを示すFSC認証ですが、製品にこの認証がついていれば、森林伐採の問題が解決されるかといったら、そうではないと思っています。

実際に、紙の原料となるパルプの原産地であるインドネシアなどでは、いまだに森林伐採の問題は続いていますよね。また、森林を整備するうえで、伐採は必要なことという意見もありますが、原生林と紙の原料となる木材は別のものですし、伐採や人工林の環境への影響については、明確な答えが出ていない領域だと思っています。

だからこそ、大前提として原生林は守っていくべきだし、そもそもの伐採の量を減らしていくための行動が必要なのではと考えているんです。

最近では、FSC認証はお菓子やファストフードのパッケージ、コピー用紙、ノートなど、いろいろなもので目にするように

そこで、必要のない印刷を減らすとともに、伸和印刷が注目しているのが、使い終わった紙を原料とする再生紙の活用です。日本では、古紙のリサイクルが進んでおり、新聞などでは再生紙の利用率が約90%以上と比較的高い水準を保つ一方で、私たちが日常で使うようなコピーや冊子などの印刷・情報用紙では、再生紙の利用は20%ほどに止まっています。

再生紙の利用率をまとめたグラフ。古紙再生促進センター古紙ハンドブック2019より作成(

60%ほど再生紙を使っている冊子。中身を見せていただくと、言われてみれば、ところどころに模様のような古紙の名残があるかも?というくらい、見た目では思った以上に再生紙かどうかがわかりません

いくら日本でのリサイクル率が高いとはいえ、その多くが国外に輸出されてもいる再生紙。印刷・情報用紙としての利用率を日本国内で高めることができれば、輸出にかかるコストや環境負荷を下げていくこともできる可能性がありそうです。

世界で広がる、印刷物による環境負荷を下げる試み

印刷物にはこだわりを持ちつつ、森林資源の利用率を下げることに目を向けている伸和印刷。日本では、まだあまりこのような取り組みは浸透していませんが、世界的に見てみると、Amazon.co.jp(以下Amazon社)やApple Inc.(以下Apple社)など、印刷物やパッケージに利用する資源を減らす試みを方針として明確に示している企業が徐々にあらわれています。

たとえばAmazon社では、フラストレーションフリーパッケージといって、扱っている商品に適したサイズの箱を販売元と一緒に開発することで、 資源の利用率を減らしつつ、配送時に荷物をより多く詰め込めるよう取り組んでいます。

本来、店舗に商品が並ぶ際に使用されるメーカーの箱を使わず、そのまま配送にも利用できる「商品にあわせたサイズの箱」の開発を目指すフラストレーションフリーパッケージ。これにより、梱包材などを使用せずに商品を配送することができ、使用する資源を大幅に減らすことにつながります

またApple社では、全10ページほどにおよぶ「紙・パッケージに関する方針」を発表し、自社が資源を利用する際の指針を細かく示しています。この方針にもとづき、新しい製品が出るたびに、パッケージなどで使う資源の量を減らせないかを細かく協議し、サイズや形状、再生紙の利用、リサイクルできるかを考慮したうえでの他素材の活用などについても検討しているそう。

さらに、危険な状態になっている森林を買い取って管理し、復元できるような状態にしたうえで、正しく管理できる組織に売却し、そのお金でまた別の森林を購入するといった森林の保持・復元などにも力をいれています。

iPhone6sとiPhone7を比較して、使用している資源をどれくらい減らせたか示すグラフ。Apple社の紙媒体やパッケージの素材に関する戦略(引用:Apple’s Paper and Packaging Strategyより)

また日本では、株式会社DINOS CORPORATIONはカタログをつくる際に、顧客のデータベースをもとに、カタログの内容を調整して使用する資源を削減したり、自社で使った印刷物を社内で回収して再生紙をつくり、社内報を印刷する際に活用するなど、利用する資源の削減に個々で取り組む企業も出てきています。

仲川さん こういった動きを活性化し、社会全体に広めていくためには、環境に配慮した印刷方法や、再エネの活用などの手法にたどり着くまでの可視化の過程が大事なのでは、というのが私の考えです。

これまで印刷会社として培った知見をいかすことで、実際の行動にたどりつく一歩手前で、まず今どれぐらい資源を使っているのかを見える化し、そのうえで、印刷物をどういう方針でつくっていくのかを考えるお手伝いができるのではと思っています。

 

印刷物の環境へのインパクトを示した図

紙のサステナビリティを進めるための5つのSTEP

では、どんなステップを経て、印刷物のサステナビリティに取り組んでいくことができるのでしょうか。具体的な流れを聞いてみました。

STEP 1. 印刷物の現状を可視化する
印刷物は、たくさんつくるほどコストを抑えることができるという特性があるため、必要以上につくって、大半を捨てるということも起こりがちです。ですが、こうした事実は意外と知られておらず、特に大企業では、発注するのは本社で、実際の印刷物を使うのは現場ということもあるため、資源の浪費も生じやすくなっています。

そこで、ダイエットで体重を測って現状を知るのと同じように、社内で今どれぐらい印刷物をつくって、どれくらい使かわれているのかというのを一覧にまとめます。

STEP 2. 利用率や資源利用量を計算する
社内のどこでどんな印刷物をつくっているかをまとめた一覧をもとに、どれぐらいのCO2や固形ゴミが排出され、水や木、エネルギーを使っているのか計算します。

紙は重量があるため、運ぶ距離によっては大量のCO2排出につながることもあるため、そのあたりも考慮し、印刷物による環境へのインパクトを伸和印刷がまとめます。

STEP 3. 印刷物の方針を策定する
「サステナブルな印刷」とひとことで言っても、森林伐採の量を減らしたいのか、CO2の排出量削減に力を入れたいのかなど、どこに重きをおくのかによって、取る手法が変わってきます。

たとえば、1段階紙を薄くしたり、できるだけ再生紙を利用するだけでも、20%ほど木材の利用量を減らせることもあります。そういった数値をシミュレーションしながら、印刷の方法や、印刷物の大きさ、紙の薄さ、綴じ方、再生紙の活用など目的にあった方法を伸和印刷が一緒に考え、提案します。

紙のサイズや厚さを変えるだけでも、利用量の削減につながります

STEP 4.  誰にいつどうやって届けるのかを明確にする
いくら再生紙を使ったり、紙の厚さに配慮しても、使われない印刷物を大量につくり続けては意味がありません。そこで、早稲田大学データ科学センター准教授を外部講師に迎え、既存の顧客リストをデータ分析し、ターゲットを明確化することで届けたい相手にしっかり届く印刷」を設計。印刷物の量をコントロールすることで、利用する資源の量を減らすことを目指します。

STEP 5. 環境に配慮された印刷
印刷物による環境への影響として、
(1)森林資源の利用
(2)紙・印刷物制作にともなう温室効果ガスの発生
(3)工場からのVOC発生による大気汚染
(4)排水による水質汚濁があります。
特に(1)と(2)に関しては、再生紙の利用や、紙の加工の有無、印刷物の配布地域や利用地域に近いエリアで印刷するなどの工夫を取り入れることで改善を見込めるため、ステップ1から4をふまえて提案を行います。

紙のサステナビリティを考える上でのおもなポイント

このように、本格的にじっくり取り組もうと考えると、細かなステップや専門知識を必要とするということがわかります。そのため、ここまでの過程を見ただけでも、ハードルが高いな…と感じた方もいるかもしれません。だからこそ仲川さんは、印刷会社として培ってきた知見をいかして、印刷物のサステナビリティに取り組みたいと思う人の力になりたいと考えているのだそうです。

自分ごととしてサステナビリティに取り組む仲間、この指とまれ!

仲川さん 私はたまに、ゴミを拾いながら出社することがあります。自分の部屋では捨てないのに、なんでみんな道端にゴミを捨てちゃうかというと、外は自分の範囲ではないと考えているからだと思うんですよね。

私は、道端に落ちているゴミも自分ごととして掃除します。そういうふうに、自分という枠を超えて、みんなが「全部自分のことです」となったとしたら、いろいろと解決していくものもあるのではと思っています。

そういう世界になったらいいなと思っていますし、それは印刷の観点で言うと、森林や環境に心を配っていくということだと考えているので、そのためのお手伝いでできることがあるのなら、自分が取り組みたいと思っています。

仲川さんが今のような考え方にたどりついたのは、子育ての経験が大きく影響しているといいます。

仲川さん もともとすごく人と比較しちゃう人間で、自分の評価もすごく低かったんですが、こどもが産まれて家庭内がピリピリしていることが多かった時期に、それに対してイライラしてしまうことがあって。

そのときに、なんで自分の腹が立ってしまうのかというのを振り返ってみたら、「自分の能力が高くなきゃいけない」という思い込みがあったことに気づきました。だから、奥さんにちょっとした家事のやりかたについて指摘されただけでも、自分の能力が否定されたように感じてイライラしてしまう。

そうやって自分も人も能力で評価してしまっていることに気づいたときに、もういいかなと思って、それをふっとやめることができたんですよね。そうしたら、自分自身だけでなく、自然と自分ごとの範囲がまわりにも広がって、環境の問題にも関心が向くようになりました。

自分ごととして環境に目を向け、印刷事業に取り組むなかで見えてきた「印刷物のサステナビリティ」に取り組む挑戦。多くの人が、森林伐採は環境によくない、印刷物のサステナビリティを考えよう、取り組もうと思っていても、なかなか具体的な動きにつながらないこともあるかもしれません。そうした現状を変化させていくためにも、まず、私たちがどういうインパクトを環境に与えているのかを可視化したいと話す仲川さん。そこに一緒に取り組んでくださる企業を見つけ、この取り組みを広めたいといいます。

仲川さん 最初の火を起こすところだけでも、ぜひ一緒に取り組めたらと思っているので、印刷物のサステナビリティを目指すための分析や提案は無償でやろうと思っています。ただ、印刷物の整理はそれなりに大変で、今までつくったものを自分たちで棚卸ししていただかないといけません。それでも地道に協働していただける企業さんと出会えたら、私も全力で取り組みます。

一緒に印刷物や紙のサステナビリティについて考えてくださる方をお待ちしています!

取材中、印刷物をまとめた一覧や、その後のステップなどを細かく見せていただいたのですが、その道のりはとても地道で根気がいるように見えました。とはいえ、普段なにげなく使っている紙の裏には、森林伐採や環境破壊といった課題が結びついているのも事実。その普段は見えていない部分を可視化することは、私たちの行動を変化させる第一歩なのではと感じました。

最近では、本来廃棄されるサトウキビの粕や、竹を使った紙など、再生紙以外にも環境を配慮したさまざまな紙が開発されていますが、そういった素材は原材料の10%ほどしか使われていなかったり、リサイクルには使えない素材が含まれていることもあるのだそう。目新しさに飛びつくのではなく、ひとつずつしっかり考えて決めていくことが、本当の意味でのサステナビリティにつながるのではと仲川さんはいいます。

その一歩に取り組んでみたいと思った方は、ぜひ伸和印刷にメッセージをしてみてください。

【問い合わせ先】

ウェブサイト: 
メールアドレス: 「伸和印刷株式会社 仲川文隆」宛てに、以下からお問い合わせください。

メールはこちら

(撮影:山中散歩)
(編集:増村江利子)

[sponsored by 伸和印刷]